三大栄養素で一番大切なのは…
- SALTY DOGブログ

- 7月8日
- 読了時間: 5分
そのフード、本当に体を作れていますか?
──犬の健康のカギ『タンパク質』の話
皆さん、こんにちは! ドッグセラピスト兼トリマー、そしてエッセンシャルドッグライフプロデューサーとして、日々ワンちゃんたちの健康寿命を延ばすお手伝いをしています。
「最近、うちの子の元気がない気がする…」 「年齢とともに、食が細くなってきたかも…」 そんな声を、私はこれまでに何度も耳にしてきました。
前回は「食事」が愛犬の健康寿命を大きく左右するというお話をしましたが、今回はさらに深掘りして、 なぜ私が「犬の食事」にもっとも力を入れているのか、 そしてその中でも特に重要な栄養素、タンパク質についてお話しします。
飼い主さんが後悔しないために、今知ってほしいこと
私の15年の現場経験から感じるのは、 「飼い主さんが愛犬の成長スピードに、知識が追いつけない」ということ。
実際、2頭目・3頭目を迎えてようやく「食事の重要性」に気づく方も少なくありません。
健康な体づくりには、運動だけでは不十分です。 筋肉がつきやすく、脂肪を適切に保つための“食事”が必要不可欠です。
むしろ、食事で土台ができていない状態で運動をすると、 筋肉がつかないどころか、関節を壊すリスクさえあります。
だからこそ私はいつも、 「まずは食事で体のベースを整えてから、運動に取り組んでください」とお伝えしています。
なぜ「タンパク質」が健康の土台なのか?
三大栄養素──タンパク質・脂質・炭水化物。 この中で私が最も大切にしているのが、タンパク質です。
なぜなら、犬の体はほぼすべてがタンパク質でできているからです。 これは、人間にも同じことが言えます。
タンパク質は、家づくりでいう「木材」のようなもの。 骨・筋肉・内臓・皮膚・毛・免疫細胞までもが、タンパク質から作られます。
食べたタンパク質は、消化の過程でアミノ酸に分解され、 体の必要な部位に応じて再構成されていきます。
アミノ酸には20種類あり、そのうち10種類は食べ物からしか摂れない「必須アミノ酸」、 残りの10種類は**体内で作り出せる「非必須アミノ酸」**です。
そして重要なのは、これらがすべてバランスよく揃っていること。 どれかが足りないと、ほかのアミノ酸が無駄になってしまいます。
タンパク質の「質」を見極める2つの指標
ここで覚えてほしいのが、**「アミノ酸スコア」と「生物価」**という考え方です。
✔ アミノ酸スコア
例えるなら「材料が全部そろったレシピ」。
食品中のアミノ酸が、どれだけバランスよく含まれているかを示す指標。
このスコアが高いほど、タンパク質が効率よく使われます。
卵はスコア100点の完全栄養食。
肉類は80点前後と高め。
豆や穀物などの植物性タンパク質はスコアが低めです。
✔ 生物価(BV: Biological Value)
例えるなら「実際に体の部品に使われた割合」。
食べたタンパク質が、実際にどれくらい体に使われたかを示す指標。
肉類は約80%が利用されるのに対し、植物性は65%程度。
利用されなかった分は“ゴミ”になってしまい、内臓に負担をかける原因にもなります。
ドライフードに潜む「熱変性」の罠
ドライフードは「総合栄養食」として広く販売されていますが、 その基準は6ヶ月間健康でいられればOKというだけの短期的な試験です。
つまり、10年以上食べ続けることを前提には作られていません。
🧪 製造過程の問題点
高温(約200℃)での熱処理により、タンパク質は「熱変性」し質が低下。
130℃を超えると「メイラード反応(焦げ)」が進み、体にとって異物のような扱いになります。
「消化しやすくなる」という表記があっても、それは吸収されやすいとは限らないのです。
🧪 添加物のリスク
栄養や風味が損なわれたフードを補うため、香料・保存料などの添加物が大量に使われることがあります。
犬は人よりも解毒能力が弱いため、これらが肝臓や腎臓に負担をかけてしまいます。
🐶 健康寿命を延ばすための食事のヒント
✅ 1. 「質の良さ」を最優先に
特にシニア期は「量」よりも「質」を重視。
高品質なタンパク質と、酸化しにくい油(オメガ3など)を意識しましょう。
🐾 今日からできること: ・卵や肉をトッピングしてみる(火を通すのが安心) ・開封後のフードは酸化に注意し、早めに使い切る
✅ 2. 加工が少ないものを選ぶ
シンプルな原材料、無添加の食材を選ぶ習慣を。
「長持ちするもの=安全」とは限りません。
✅ 3. 少しずつ手作りに挑戦してみよう
いきなり完璧を目指さなくてOK!
トッピングから始めて、徐々に慣れていきましょう。
生の肉や魚は理想的ですが、加熱しても十分効果的です。
🐾 ワンポイント: 魚の皮や骨からは、グリシン・プロリンなどの非必須アミノ酸も摂取できます。
✅ 4. 愛犬の“食の好み”を探す旅へ出よう
「合う・合わない」を知ることも大切な健康管理。
市販品だけに頼らず、知識を持つことが愛犬の選択肢を増やす鍵になります。
✅ 5. 日々の変化に敏感になる
毛艶が落ちる、皮膚が乾燥する、お腹を壊す──
これらはすべて体からのサインです。
「病院に行く前に、まず食事を見直す」 そんな視点があっても良いのではないでしょうか。
最後に
私も最初は、ドライフードが一番だと信じていました。 でも、現場で数えきれないほどの犬たちの体を見て、学び続けてきた結果、 行き着いたのは──「やっぱり食事なんだ」という答えでした。
愛犬との毎日が、 「やりきった!」と胸を張って振り返られるものになりますよくうに。
次回は、三大栄養素の「脂質」について、 さらに深く、わかりやすくお届けします。どうぞお楽しみに!


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