つい最近の営業中の出来事で
重い重積てんかん発作に対面して
その時の経験は記憶が新しい内に
残しておきたいと思ったので
今後のトリマーさんの為にも
残しておきます!
予備知識として先ず、はじめに
犬猫における発作の理解と
応急対応について解説し
最後にサロンワーク内での
現在の最善をまとめたいと思います。
発作が発生する原因は複数あり
各症例に対して適切な対応が求められます。
発作の原因や分類、家族を守るための
対応策について学びましょう!!
1. 発作の定義と種類
発作は神経系の異常な電気活動により生じ
典型的には筋肉のけいれんが発生しますが
すべての発作がけいれんを伴うわけではありません。発作には以下のような分類があります。
《てんかん発作》
繰り返し発生する脳内の異常な電気活動が原因です。
《反応性発作》
肝臓や腎臓の機能低下や電解質異常(低血糖症やナトリウム欠乏など)が原因で生じる一時的な発作です。
《重積発作》
5分以上持続する長時間の発作や
1日に複数回発生する群発性の発作です。
⭐︎致命的な合併症を引き起こすリスクが高く
緊急対応が必要です。
2. 発作の原因
《脳内の異常》
頭部のMRI検査や脳脊髄液の検査により
脳腫瘍や脳梗塞、脳炎などの病変が
見つかる場合があります。
《内臓機能の異常》
肝臓や腎臓の機能不全が
発作を誘発することがあります。
肝臓がアンモニアを分解しきれない場合
毒素が体内に蓄積し
脳へ悪影響を及ぼすことがあります。
《電解質異常:》
低血糖やナトリウム欠乏などが
発作の原因となることもあります。
3. 発作の予防と治療
何も異常の無い子については予防策となると
反応性発作に関して関わる内臓を気に掛ける事しか
具体的に出来る事が無いかと思いますが
てんかん発作を体験している子のご家族には
発作予防のためには定期的な薬の服用が重要です。
特に、抗てんかん薬の服用は
医師の指導に基づいて行う必要があります。
⭐︎
勝手な中断は、重篤な発作を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
服用は日々の事で、ぽっと忘れがちですが
服用を犬に任せずに飲み込んだ事をを必ず
確認してあげましょう。
飲んだフリをする子もいます。
また、急な発作には
直腸内投与薬や鼻腔スプレータイプの薬が
使用されることが一般的です。
家族から犬が単身離れる場合は
預け先にしっかりと現状を伝えた上で
急な発作に備えてお薬を預けておいてあげましょう。
4. 家族ができる応急対応
発作中のペットには安静を保つ環境を提供することが大切です。
発作が5分以上続く場合や
短時間に繰り返し発生する場合は
速やかに動物病院へ連れて行く必要があります。
また、発作中に動画を撮影しておくと、獣医師が症状を正確に把握しやすくなります。
5. 日常生活で気をつけること
発作の引き金となる可能性のあるストレス要因は
その子の性格によって様々ありますが
アメリカの研究結果で一番のストレスになるのが
車での長距離移動だそうです。
(アメリカの基準での長距離は日本とはレベルが違いますけどね)
車での長距離移動には注意が必要です。
また、発作が起こりやすいと診断された
子については、事前に獣医師と相談し
可能な限り安心・安全な環境を整えると良いでしょう。
この内容を基に発作の原因や対応方法について
家族と共有し、いざというときに
備えていただければと思います。
では、
トリミングサロンで発作が起きた場合はどうするのか
対応マニュアルとして、次のような工程を設定すると安全かつ迅速に対処できると思います。
【トリミングサロン発作発生時の対応マニュアル】
〜迎える前準備として〜
発作時に備えて薬を預かっておきましょう。
掛かりつけの動物病院が空いていて
尚且つ、担当医がいる日に
トリミングやグルーミングの予約を入れるように
してもらいましょう。
万が一、発作が起きた時の為に
安全確保できる場所を用意してお預かりしましょう。
(子供用のプールにタオルやクッションを入れて置いておくのがgood)
電話と薬も一緒に近くに備えておきましょう。
薬を使うタイミングを明確に指示してもらうと
躊躇なく使えますので、飼い主様に確認しておきましょう。
“持ち物リスト”
・子供用のプール(サイズは犬に合わせて)
・タオル複数枚
・薬
・電話、子機
・電話番号リスト
飼い主様
掛かりつけ病院
掛かりつけが万が一繋がらない場合の保険で他の病院の番号
・スマホ
・三脚(動画を手放しで撮れる様に三脚が有ると本当助かります)
【発作発生時の実際の流れ】
1. 発作の確認と同時に時刻の確認
発作の兆候として、けいれんや筋肉の緊張
よだれの増加、意識の低下などが見られる
場合があるため、普段の動きとの違いを観察する。
小さな変化も発作スタートの合図だと思い
時間は直ぐにパッと確認しましょう。
⭐︎出来れば動画を直ぐに回し始める。
発作が起きていた時間も様子もわかるのでベスト。
兆候は個体差があるので
飼い主様に詳しくヒアリングして
その子の兆候のパターンを確認しておくと
発作の初期動作に気が付きやすいです。
トリマーさんは他にも気を配る項目が多いので
大変かと思いますが、早ければ早い方が
次の安全確保し易いです。
2. 周囲の安全確保
発作の度合いにもよりますが
立てなくなったり、海老反りで硬直したり
横になったまま、足をバタつかせて立ちあがろうとしたりします。
抱っこしてあげたくなる気持ちもわかりますが
発作中は予期せぬ動きをしますので
万が一落下させてしまったら
受け身も取れないままの落下なので
そちらの方が致命傷になるでしょう。
トリミングテーブルに乗っている時でしたら
下ろす為の抱っこは直ぐにしましょうね。
発作で慌てるのもわかりますが
(初めて見た時は僕も焦りました)
転けて頭を打ったり身体を打ち付けたりする
などで怪我する事も危険なので
地面にタオルを厚めに敷き
周りに物や家具が無い状況を作り
無理に抑えず、周囲にバスタオルなどを置いて
体を保護し安全確保しましょう。
前準備出来ていれば、そこにそっと
置いてあげましょう。
3. 安全な姿勢で安静を保つ
発作中は怪我から守り時間見る事以外、本犬に
出来る事はありませんので
飼い主様に連絡をし
その後直ぐに搬送の準備に取りかかりましょう。
↑これが実は盲点な所で
実際の所、放心状態になりがちな場面です
発作が短く終わるか長く続くかは誰にもわかりませんので、条件反射で飼い主様に連絡して
かかりつけの病院へ連絡してもらうか、しましょう!
追記
発作時に舌を噛んでしまう子がいるので
噛みそうな時はタオルで噛ませましょう。
4. 発作の記録
発作が始まった時刻を記録する。
発作の様子
・けいれんの頻度や強さ
・持続時間
・よだれの量などを観察
できれば動画を撮影しておくと獣医師に伝えやすい。
5. 発作が5分以上続く場合
飼い主様に連絡が付かない場合は
事前の打ち合わせ通りに近くの病院へ向かう。
薬を処方されている子で
飼い主から薬の使用を依頼された場合は
獣医師の指示に従って投与する
(鼻腔スプレータイプや直腸内投与薬など)
6. 飼い主への連絡
発作の状況と記録内容を飼い主に報告し
今後の対応について相談する。
発作が落ち着いた場合も
トリミングは中断し飼い主と相談して
状況を伝えたうえで引き渡す。
7. サロンスタッフへの共有と対応の見直し
環境によってイレギュラーな事は起こりがちです
発作の経緯を全スタッフで共有し
似たケースに備える。
必要に応じて獣医師のアドバイスを受け
マニュアルの内容や対応方法を見直し
改善し続けましょう!
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